パーソナルソング・メソッドについて

開発の経緯

 懐かしい音楽を聴くだけで記憶が蘇る!各国研究機関でその効果は実証済み!

 2009年米国のカリフォルニア大学デイヴィス校が「MEAMs=音楽が呼び起こす自叙伝的な記憶」と題して学術誌に懐かしい音楽と記憶とのかかわりについて発表しました。側頭葉には聴覚を処理する聴覚野の役割がありますが、古くなった記憶も保存されていることが分かっています。側頭葉を懐かしい馴染みの音楽が通過すると、その古い記憶が出てくるという事が証明されているのです。つまり音楽が記憶喚起のカギになるのです。

オーストラリア ニューキャッスル大学ではひどく脳を損傷した患者が個人の記憶を思い出すのを助けるために、ポピュラー音楽を使った研究を行い2013年に学会で発表しました。全米TOP100の楽曲を断片的かつランダムに被験者に聴かせてアンケートをとったところ、記憶を呼び覚ました曲はそうでなかった曲と比べ、被験者にとってより身近でより好かれていた曲であったことが分かり、彼らは自分自身の記憶を呼び覚ますのに、言葉による問いかけよりも、馴染みの音楽の方がより有効であると結論づけています。

米国のNPO団体 Music & Memoryは「お気に入りの音楽を認知症患者に聴かせてみる」方法に大きな効果がある事がわかり、各個人のお気に入りの曲を入れたiPodを認知症患者達に提供する事を主な活動としています。2014年にこの活動を記録したドキュメンタリー映画「パーソナルソング」が公開され、「サンダンス国際映画祭観客賞」を始め数々の賞を受賞し話題になりました。

 

この映画の中で、アルベルト・アインシュタイン医学校教授であり、アルツハイマーの治療薬アリセプト/エクセロンの開発者としても知られるPeter Davis博士は「私は認知症治療法の研究を始めて38年間になるが、これ以上の治療法を見たことがない」と絶賛しています。

 イギリス・ダラム大学は最近の研究で、大人が若いころに聞いた曲を好むのは、「その音楽が当時のポジティブな記憶と絡み合っているから」だと2020年に学術誌発表しました。思春期に聴いた曲は、無意識により鮮明でポジティブな記憶と関連付けていたことから、いつまでたっても親しみやすく、懐かしい気持ちにさせる効果があったといい、過去を思い出す効果が最も高かったのは14歳頃をピークとした10代に聴いた曲だったとのことです。

 

このように海外では「懐かしい音楽と記憶」に関する多くの研究が進められていましたが、わが国では音楽の権利の問題、欧米とは異なる独自の音楽が流行してきた背景、そもそも何歳くらいの時の音楽を聴かせるべきかなどの指標が定まらず立ち遅れており、我々が独自の研究を始めました。


音楽を用いた記憶喚起法において日本が有利なわけ。そして回想療法との出会いからパーソナルソング・メソッドが誕生

2013年日本心理学会第77回大会で日本回想療法学会が「ADL*を低下させる記憶群の消失」として「10~15歳歳の記憶が消失するとADLも消失する」という、認知症の行動特性を明らかにし記憶を維持することが介護予防となることを検証した、と発表しました。我々はこの学説からそれぞれの高齢者が10~15歳の頃の楽曲を聴かせてみることにしました。これは先述の英国ダラム大学の研究結果とも一致します。(*ADL=日常生活動作)

 

次に選曲に関して例えば米国を例にとると、様々な民族が入り交じる個性の強い国民性から好まれる楽曲も多種多様で、その人が思春期に聴いた楽曲を絞り込むのは容易ではありません。しかし、日本では少々事情が異なります。現在の高齢者の殆どは思春期に童謡や唱歌を日常的に歌い、大みそかにはNHK紅白歌合戦を8割前後の人が視聴していました。つまり、日本人高齢者の場合パーソナルソング(記憶を喚起するその人固有の楽曲)は、かなり共通しているということです。

識者の意見も伺った上で、様々な高齢者施設などで高齢者の方々に10~15歳を中心に多感な時期でもある10代の頃の音楽を聴かせて心療回想法を実践したところ、ADL記憶が喚起されて若い頃のお話を次々にするなど顕著な反応が出ました。また、思い出し、発話したことで情動機能(喜怒哀楽などの感情)が刺激され表情や感情が豊かになりました。

これらの結果をまとめ「年齢に合わせた懐かしい曲でADL記憶を喚起し、思い出を発話する認知症予防・進行抑制法」として「パーソナルソング・メソッド(PSM)」と名付けました。パーソナルソング・メソッドは心療回想法と情動療法を掛け合わせた全く新しい介入法です。

PSMの仕組みとエビデンスデータ

音楽を聴く+発話(おしゃべり)の効能

 

馴染みの音楽で喚起された高齢者の記憶は映像としてイメージ脳と呼ばれる右脳に浮かびます。これを人に伝えるために言語脳と呼ばれる左脳に送り、発話(おしゃべり)するということを繰り返すことによって脳が活性化していくのです。

PSMの「音楽を聴く→記憶喚起→発話をする→脳が活性化する」という働きはCogEvoというMMSEの数値との相関関係が証明されている機器を使用してエビデンスを得ています。またNIRS(光トポグラフィ技術)を使用して脳血流の変化を測定し確かめる事も出来ました。詳しくは以下をご覧ください。

PSMが7分で分かる研究発表動画

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